
米国成人の訳15%が聴覚に問題があると報告しており、75歳以上の人の55%近くが「日常生活に支障をきたす難聴」を抱えています1。難聴は、認知機能の低下、社会的孤立、安全上の問題、言語発達の遅れ、メンタルヘルスのリスクなど、望ましくない結果を招きますが、補聴器の使用によって軽減することが可能です。
2022年にFDAが、医師の処方箋や専門家による調整、高額な自己負担を必要とする従来の補聴器に代わるものとして、市販(OTC)補聴器を承認する裁定を下したことで、生活の質を向上させるこの機器の利用しやすさが改善しました2 。
OTC補聴器の世界市場規模
世界のOTC補聴器の市場規模は3億8,950万ドルで、2028年にかけて年平均成長率(CAGR)6.1%で大きく成長すると予測されています3。
最近のFDAの規制変更、技術の進歩、Eコマースの拡大、そして手頃な価格などが、世界のOTC補聴器市場を急速に推進する要因となっています。
OTC補聴器と従来の補聴器の比較
難聴は単に高齢者だけの問題ではありません。リスク要因には、過度の騒音への暴露、加齢、特定の健康状態、遺伝的要因、頭部外傷、感染症、一部の薬剤などが挙げられます。OTC補聴器は、軽度から中等度の難聴を持つ成人にとって有効な選択肢であり、より高度な統合技術、より簡単な操作性、コストの削減を提供します。
OTC補聴器の価格は?
従来の補聴器にとって、費用は大きな障壁となっています。平均的な補聴器の価格は1,000ドルから5,000ドル4で、通常、健康保険は適用されません。従来の補聴器が高価なのは、医師の診察によるフィッティング、修理やメンテナンスが必要とされる場合が多く、また重度や極度の難聴に対応するための高度な技術が求められるためです。
一方、OTC補聴器は、1,000ドル以下で購入できるものが多く、FSA(医療費支出口座)やHSA(医療貯蓄口座)の対象となるため、大幅に価格を抑えることができます。オンラインショップでは製品の購入や比較が容易に行えるほか、ベストバイのような大型店舗では、医師の予約を取ることなく、手軽に補聴器を購入することができます。
OTC補聴器のカスタマイズ
従来の補聴器は、医師や聴覚専門家によって処方され、調整されます。通常、処方者は個々の設定に合わせてプログラムや微調整を行う必要があります。
OTC補聴器は購入後すぐに使用できる設計となっており、快適な装着感のためにイヤーピースのサイズを変更することができます。音量調節、ノイズキャンセリング、プリセットプログラムなどの基本的な機能を備えています。しかし、AIの進歩を活用し、個人に合わせたよりパーソナライズされた音質を提供するOTC補聴器メーカーが増えています。
例えば、適応型音声機能は、利用者の周囲の環境を感知し、自動的に音を調整することができます。レストランの背景雑音を自動的に低減したり、利用者のテーブルでの会話音を強調したりするような機能は、OTC補聴器が従来の補聴器と同等になりつつあることを示す一例です。
例えば、LinnerのOTC補聴器のラインナップは、ユーザーがスマートフォンのアプリを通じて音の設定を調整できるため、補聴器の好みをより細かくコントロールすることが可能になっています5。
音質
重度の難聴とは、補聴器を使用しても日常的な音を聞き取ることが困難な状態です。補聴器を使用しても71~90デシベルの音を聞き取るのが難しい患者にとって、音質は生活の質を向上させるために、音質は極めて重要です。
Appleは、AirPods Pro 2でOTC補聴器市場に参入しました。この製品は、コンピュテーショナルオーディオ技術を活用して音の周波数を強調し、不要な背景雑音を分離することで、ユーザーによりクリアな音声を提供します6。

OTC補聴器のイノベーション
IoT接続の向上により、OTC補聴器は複数の新技術と統合され、より接続された体験を提供しています。例えば、ReSound Nexiaは、Auracast放送音声に接続された初の補聴器であり、さまざまなBluetoothスピーカー間で音声を共有する機能を実現しました7。
これは次世代の音質を実現するだけでなく、補聴器ユーザー同士のつながりや相互の関わりを増やすことにもなります。
AIチップがもたらす進歩
従来の補聴器は、重度の難聴患者を支援するために、絶えず研究開発がすすめられている高度な技術を採用しています。これらの技術の研究開発はそのコストに大きく影響している一方で、AIや半導体技術の進歩により、OTC補聴器との差は縮まり始めています。
OTC補聴器は、コンパクトで目立たないデザインの中に、パワフルな音声処理機能と優れたバッテリー寿命を搭載しています。ノイズリダクション、サウンドエンハンスメント、環境分析などのAIモデルは、もはや従来の補聴器だけに限定されたものではありません。
ノイズリダクションとサウンドエンハンスメント
優れた補聴器の重要な2つの要素として、ノイズリダクションとサウンドエンハンスメントが挙げられます。従来の補聴器では、これらは高度に洗練されたカスタマイズ可能な技術であり、患者個人の聴力検査の結果に合わせて調整されます。OTC補聴器でもこの技術を導入し始めており、OTC補聴器に搭載されたパワーマイクが音を感知して自動調整が行われます。
リアルタイム環境分析
これらの最先端のマイクは、周囲の音を継続的にモニターし、背景雑音、人の声、交通音、音楽などを区別します。OTC補聴器は、内蔵アルゴリズムを活用してリアルタイムで環境分析を行い、さまざまな音の種類に応じて増幅や低減を行います。
OTC補聴器の未来
難聴とその予防への意識が高まる中、より手頃な価格で、効率的かつ利用しやすい補聴器の選択肢へのニーズがますます増加しています。OTC補聴器の技術が急速に進歩する中で、半導体はこれらの不可欠な医療機器を実現する上で、重要な役割を果たすことになります。半導体は、高音質の音声性能を実現し、接続性を向上させ、複雑なAI音声計算を処理するためのエネルギー効率に優れた電力消費を提供します。
OTC補聴器は、軽度から中等度の難聴に対応する先進的な技術として高く評価されていますが、難聴の程度や、OTC補聴器が適切な選択肢であるかどうかを検討するためには、聴覚専門家に相談することが重要です。
Ambiqの貢献
Ambiqは、OTC補聴器などのAI搭載ヒアラブルを実現するために、Apollo510 MCUとneuralSPOT® AIディープラーニングソリューションの採用を発表しました。開発者は高度なAI音声処理を利用して、常時接続のリスニング機能を備え、通信品質の音声を実現する、応答性に優れたリアルタイムのヒアラブルアプリケーションを作成することができます。
Apollo510の機能は、一日中実用的に使用できるクラス最高の性能とエネルギー効率を提供し、neuralSPOTは、メーカーが音声AIモデルをトレーニング、テスト、製品に導入する際の開発サイクルを加速させます。Ambiqソリューションの用途については、こちらをご覧ください。
Sources
1Quick Statistics About Hearing, Balance, & Dizziness|September 20, 2024
2Over-the-Counter Hearing Aids|June 13, 2024
3Over-the-Counter Hearing Aids Market Share and Size|November 18, 2024
4Hearing aid cost & pricing models|2024
5LINNER Official Website – Best OTC Hearing Aids|2025
6AirPods Pro 2 – Apple| 2025
7Hearing aids reSound|2024