
スマートグラスは長い間、消費者市場に大きな変革をもたらすと期待されてきました。 当初は大きな話題となりましたが、技術革新は消費者が日常的に着用するものではなく、企業向けの用途に限定されたままでした。消費者向けデバイスが登場し始めた頃、その多くは日常的な着用や長時間の使用には非常に大きく、かさばるものでした。 また、すぐに電池が切れたり、充電器に接続する必要があったりして、実用的ではありませんでした。
しかし、AIを日常生活に取り入れる時代へと移行する中、デバイス上での処理を可能にするマイクロコントローラのおかげで、スマートグラスは飛躍的な進歩を遂げています。このことはCES 2025でも明らかで、多くのAI搭載スマートグラスが快適性と機能性の両立を約束していました。 このようなAIメガネは、来年には消費者にとってより身近なものになるでしょう。
世界のスマートグラス市場は継続的成長の見込み
2024年における世界のスマートグラスの市場規模は19億3千万米ドルと推定され、今後5年間に年平均成長率(CAGR)27.3%で成長すると予想されています1。この成長は、主に企業による導入の拡大と、消費者の関心の高まりによって牽引されています。
さらに、ARを活用したメンタルヘルス治療や、製造業や教育現場でのスマートグラスの利用など、各国政府もさまざまな分野にスマートグラスを導入する機会を認識しています。その結果、研究、開発、採用を促進するための新たな資金提供や取り組みが増加しています。AIを搭載したスマートグラスの登場は、こうした成長と市場にさらに貢献するでしょう。
スマートグラスの進化
スマートグラスの概念は決して新しいものではありません。この技術には、拡張現実(AR)の発展に象徴される革新の長い歴史があります。ここでは、市場を形成してきた主要なプレーヤーを概説します:
- Google Glass(2013年): 音声コマンド、写真撮影、インターネット接続機能を備えたスマートグラスの概念の先駆者。プライバシーや価格に関する批判に直面。
- Microsoft HoloLens(2016年): 物理的環境内でのホログラムとのインタラクションという概念を導入し、企業利用におけるARの可能性を示した。
- Ray-Ban Meta(2021年): スマートグラスの本格的な普及を牽引。スマートAIアシスタントや電話通信など、物理的生活からデジタルライフへのハンズフリーアクセスを消費者に提供。
- Apple Vision Pro(2023年): スマートグラスのにおける空間コンピューティングの可能性を示したが、高価格とバッテリー寿命の制限により利用可能性は限定的。
- Meta Orion (将来): ホログラフィックディスプレイやニューラルインタフェースを活用し、基本的なオーバーレイにとどまらず、仮想コンテンツと現実世界をシームレスに融合させることを約束する。
しかし、こうした大手企業の中にあって、小規模なスタートアップ企業もこの進化に貢献しており、これらの企業は先行企業の優れた要素を取り入れた独自の機能を備えています。
AI搭載スマートグラスの年
CESでは、オーディオ機能が強化されたスマートグラスなど、独自の機能を備えた多機能なスマートグラスを開発し、この分野に参入した数多くの中小企業が注目jを集めました。2025年に注目すべき新たなAIスマートグラスの一部を紹介します:
Rokid AR Spatial
Rokid AR Spatial2は、Apple Vision Proに代わる競争力のある選択肢で、近視や瞳孔のインテリジェントな調節機能を搭載した初のスマートARグラスで、近視の人は処方レンズを追加することなくAR体験を楽しむことができます。
ソニーのOLED技術を採用しており、最大300インチの映像を投影可能。また、スマートフォンやノートパソコン、携帯電話、ゲーム機など、お好みのデバイスに接続可能です。
Even Realities G1
Even Realities G1は、一見するとスタイリッシュで控えめな外観ですが、その仕様にはHAOS™(Holistic Adaptive Optical System)上で動作する高度なレンズ技術が搭載されており、鮮明さを損なうことなくデジタルコンテンツを提供します3。 大規模言語モデル(LLM)を活用して質問に答えるアシスタントとして、統合されたAI機能を駆動します。 また、Even Realities G1は一般的な使用で1.5日という優れたバッテリー持続時間を実現しており、同種の技術と比較して大きな進歩を遂げています。
Halliday
CES2025で登場したAIメガネ、Hallidayは、プロアクティブAI (能動的AI)と称される先進技術を搭載した、従来のメガネと変わらない外観で、大きな注目を集めました。 これは、アクティブリスニングを用いて周囲の状況から学習し、リアルタイムで応答を提供するAIエージェントです4。
Hallidayの小型メガネは、レンズに映像を投影するのではなく、マイクロディスプレイモジュールを使用して目に見えないDigiWindow(デジウィンドウ)を投影します。この 設計により、光漏れや虹色の映り込み(レインボー効果)が低減されています。 翻訳、通知、着信メッセージなどのテキスト情報を画面上に表示することも可能です。Hallidayレンズは、他のスマートグラスにみられるような無骨なデザインとは一線を画す軽量設計で、快適な装着感を実現しています。

AIはスマートグラスをどう変えるか
上記のデバイスからわかるように、AIはスマートグラスのイノベーションにおいて重要な要素となっており、以下のようなさまざまなメリットを提供しています。
- より洗練されたユーザーインタラクション:音声制御やコンピュータビジョンにより、ユーザーはウェアラブルデバイスとよりシームレスにやり取りできるようになります。
- LLMの統合:OpenAIの大規模な言語モデルが、情報提供、エンゲージメント、エンターテインメントのための自然な変換と広範なコンテンツ生成を可能にします。
- より高度なパーソナライゼーション:カスタマイズされたコンテンツと体験は、ユーザーにより強い共感を呼びます。
- リアルタイムの情報処理:即時のデータ処理により、新たな機能性や活用事例の可能性がもたらされます。
AIチップがスマートグラスを主流に
AIがスマートグラスに大きな影響を与えているもう一つの側面は、デザインの充実です。AIチップによるデータ処理の効率化と性能向上のおかげで、スマートグラスの開発者はより柔軟な設計が可能になりました。
CESで見られた新しいスマートグラスは、ハードウェアの小型化が進み、長時間装着しても快適な軽量設計や、スマ長時間使用するためのバッテリー寿命の向上を特徴としています。さらに、これらのメガネは日常使いに適したスタイリッシュな外観を備え始めているというメリットもあります。
注目すべきAIメガネのアプリケーション
AIメガネの可能性は無限大ですが、ここでは消費者が今すつ体験できるエキサイティングな事例をいくつか紹介します:
- 言語翻訳:メッセージ、ソーシャルメディア、インターネット閲覧などにおいてリアルタイム翻訳を活用して、ハンズフリーでコンテンツを閲覧したり、会話にしたりできます。
- ナビゲーション:詳細なルート案内、安全情報、参考になるオーバーレイを表示し、体験を向上させます。
- 生産性:バーチャルアシスタントとカレンダー、通知、リマインダーへのハンズフリーアクセスで組織を最適化します。
- 写真撮影:より良い画質と自動補正機能でマルチメディアを撮影し、共有できます。
AIメガネの未来の展望
エッジデバイスの普及やAIおよびAR分野への投資拡大は、この市場におけるイノベーションを促進し、消費者のこの製品に対する関心を支え続けるでしょう。デザインや処理能力において大きな進歩が見られる一方で、日常使いに適した快適性や機能性を実現するには、まだ長い道のりが残されています。
AIメガネのパイオニアが直面する最大の課題の一つは、この新しいデバイスが社会的に受容され(これはあらゆる技術の進歩につきものです)、価格に見合った価値を提示することです。一般への普及を実現するには、プライバシーに関する懸念や技術的な制約に正面から取り組む必要があります。
Ambiqの貢献
スマートグラスなどのエッジデバイスにおいてAIへの需要が高まる中、設計者は顧客の心をつかむためにデバイスのデザインや実用性も考慮する必要があります。AIスマートグラスには、革新的な機能をサポートする俊敏な性能、実用的な使用のための長いバッテリー寿命、そして洗練されたデザインが求められます。
Ambiqは、超低消費電力システムオンチップ(SoC)製品群により、こうした要件に対応する独自の地位を確立しています。最近のThinkARのスマートグラスAiLens向けの提携において、AmbiqはApollo4 SoCを提供して、デバイス上でのエッジでエネルギー効率に優れたエッジ処理によって、優れたグラフィックス、オーディオ、AIモデルを実現しています。
これによりThinkARは、リアルタイムで応答性の高いAI統合、業界標準の3倍という長いバッテリー寿命、ハードウェア部品の最小化による軽量設計を実現しています。AmbiqとThinkARの協業の詳細については、こちらをご覧ください。
Sources
1Grand View Research |December 2024
2Discover Rokid AR Spatial – Your Gateway to Next-Generation Augmented Reality Experiences – Rokid | 2025
3Even Realities G1 Review | Prescription Smart Glasses with Display & AI|2025
4Halliday: World’s 1st Proactive AI Glasses with Invisible Display – Hallidayglobal|2025