喘息モニター、接続型吸入器、スマートインスリン投与システムなどの高性能デバイスに加え、体重管理を支援するフィットネストラッカーなど、健康とウェルビーイングの管理はこれまでになくスマートになっています。早期検出機能や命を救う可能性のある機能に加え、モノのインターネット（IoT）スマートデバイスは新たなタイプの患者ケアを生み出しています。
米国では慢性疾患が医療費の90％を占めている一方で、ヘルスケア関連製品はIoT市場で最も急速に成長している分野の一つです。IoMT（Internet of Medical Things）と呼ばれることもあるこれらのIoTデバイスや医療用ウェアラブル機器は、医療プロセスを効率化し、より良いサービスの提供、患者の転帰の改善、医療費を削減を実現します。
ここでは、IoTスマートデバイスが医療をどのように変えているのか、実例を見ていきます。
ウェアラブルバイオセンサー
現在最も人気のあるIoT医療機器の一つである遠隔患者モニタリングは、バイタルサインのモニタリング、医療データのリアルタイム送受信、患者の生体情報の収集、医療機器のモニタリングを可能にする常時接続デバイスを提供します。Philips Biosensor BX100などのウェアラブルバイオセンサーは、呼吸数、心拍数、体温などのバイタルサインをモニタリングするために、身体に装着する小型軽量のデバイスです。このデータは、医療従事者に、特に長期にわたる健康状態に関する重要な洞察を提供します。
これらのウェアラブルデバイスにより、データ収集と通信は患者が病院や診療所にいる時だけに限定されません。介護者や医師は、患者が日常の活動を行っている間も、より広範なデータセットにアクセスできるようになります。パンデミック発生当初、これらのデバイスは、COVID-19の疑いまたは確定診断を受けて隔離された入院患者を遠隔モニタリングするために使用されました。ウェアラブルバイオセンサーは、多発性硬化症患者のモニタリングにも使用
心拍数モニタリング
心拍数モニタリングは、臨床現場においても、いくつかの課題をもたらしています。患者は心拍数の急激な変動を経験する一方で、従来の連続心拍モニタリング方法では、患者は常に機器につながれている必要がありました。しかし、ウェアラブル心拍リズムモニターは、患者が継続的にモニタリングされながら、自由に動き回ることを可能にします。
血糖値モニタリングとインスリン投与
従来の血糖モニタリングは、手動で血糖値を検査し記録するもので、正確な測定時の値を記録するのみでした。IoMTデバイスは、睡眠中であっても血糖値を継続的にモニタリングし記録できるため、手動での記録の必要がありません。また、血糖値が異常な場合、患者にアラートを送信します。患者はこれらのモニターを自動インスリン投与（AID）システムと組み合わせて使用 することで、必要なインスリン量を決定し、インスリンポンプで投与することもできます。このシステムにより、血糖値の急激な上昇や低下の経験頻度が低減され、より長い時間を血糖値が「範囲内」で過ごすことができます。
パーキンソン病のモニタリング
IoTセンサーは、医療提供者がパーキンソン病患者により効果的な治療を提供し、一日を通して症状の重症度を判断することを可能にします。これらのウェアラブルセンサーは、患者の症状に関するデータを継続的に収集すると同時に、患者が自宅での日常生活を続けることができるようにし、臨床環境での観察下に置かれる時間を減らすことができます。
IoT手術ロボット
体内に埋め込まれた小型のIoT接続ロボットが、手作業では極めて困難な複雑な外科手術を、外科医が正確に実施できるようにします。また、IoTデバイスは外科手術の切開サイズを縮小できるため、患者にとってより低侵襲な外科手術と早期回復につながります。
接続型吸入器
慢性閉塞性肺疾患（COPD）や喘息などの呼吸器疾患を持つ人は、予期せぬ突然の発作が起こる場合があります。IoT接続型吸入器には、患者が発作の頻度をモニタリングし、薬の使用状況を追跡するためのアプリが付属されていることが多く、薬の服用を促すアラート機能も備えています。これらのデバイスは、環境データも収集し、医療提供者が発作の引き金となる要因を把握するのに役立ちます。さらに、接続型吸入器は、ユーザーに吸入技術を改善するための個別ガイダンスを提供し、吸入器を自宅に忘れた場合にアラートを送信する機能も備えています。
摂取可能なIoTセンサー
IoT市場ではまだ比較的新しい存在ですが、摂取可能なセンサーは小さな錠剤サイズの電子機器で、患者が服用することで、従来の方法よりもはるかに低侵襲な方法で情報を収集します。医療提供者は、これらのセンサーによって患者の胃のpH値、体温、薬の服用状況を把握でき、内部出血の原因を特定することも可能です。
高齢者支援
IoTスマートデバイスは、高齢者が自宅での生活を続けるための手段として、ますます普及しています。これらのデバイスは、緊急時には支援を受けながら、自立した生活を維持したいという人々に実用的なソリューションを提供します。転倒を検知する常時接続のウェアラブルデバイスから、薬の服用タイミングを知らせるスマートスピーカー、大きな行動の変化があった場合に介護者に通知する在宅患者モニタリングシステムまで、その範囲は多岐にわたります。IoTテクノロジーの持つ可能性の全容はまだ理解されつつある段階ですが、IoMTテクノロジーは成長を続け、世界中の医療サービスに大きな価値をもたらしています。プロセスの効率化から、これまでにない方法で患者の転帰を改善させることまで、IoTスマートデバイスは世界中のウェルネスと医療を変革しています。
Ambiqの貢献
Ambiqは10年以上にわたり、市場で最も革新的なシステムオンチップ（SoC）ソリューションの発明と提供に注力してきました。Ambiq®の超低消費電力SoCは、ワイヤレスデバイスや高度なウェアラブルデバイスの処理能力とバッテリー寿命を拡張し、より堅牢なユーザー体験を実現します。
高度なSPOT®（サブスレッショルド電力最適化技術）プラットフォームを通じて、Ambiqは世界中の主要な大手メーカーが、リチウム電池または1回の充電で数日、数か月、時には数年間動作する製品を開発するのを支援してきました。詳細については、https://ambiq.com/wearablesをご覧ください。
